外国の、古い美術館を訪れるのが好きです。
人気の無い時間は特に、展示品や部屋自体の持つ
何とも言えない雰囲気を感じることができます。
印象に残る館は、ローマのボルゲーゼです。
コントラストの強い、バロック様式の作品を廻りながら、
盛りの生と、隣り合わせにある死の世界の存在を明確に感じ、
時代の基調を成していた意識に触れたように思いました。
美術館は、17世紀初頭にシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の別荘として建てられ、
現在はボルゲーゼ家のコレクションが展示してあります。
写真は枢機卿のコレクションの一つ、欲しさの余り持主を監禁して手に入れたと言われる
ドメニキーノの「ディアナの水浴(狩をするディアナ)」”Il bagno Diana (Caccia di Diana)”です。
![写真](https://atebis.com/essay/wp-content/uploads/2015/08/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3.jpg)
薄暗い部屋の壁にある絵を見て、枢機卿が持主を監禁までした理由が解りました。
川の中にいる、手前の女性の表情です。
何を見ているのか判らない目、青白く虚ろで曖昧な表情。
「この女性はこの世の人では無い…。」館、
そして時代の雰囲気に見事に嵌る、私にとっては忘れ難い絵です。
下図の作品「Psyche」は、ミュシャの作品「月」(Clair de Lune)に、
この絵の持つ雰囲気を感じたことから、模写をしてみました。
![sadakata03のコピー](https://atebis.com/essay/wp-content/uploads/2015/08/b9cac4cff66d6f4b4a0cf4e620f2e9a4-218x300.jpg)
下図の作品はミュシャの絵「夜」(Repos de la Nuit)の模写です。
左右に着物の図案の藤を配置しました。
![unnamed](https://atebis.com/essay/wp-content/uploads/2015/08/unnamed-218x300.jpg)
力強いのか、それとも儚いのか。
ヨーロッパの伝統なのか、日本の影響(ジャポニズム)なのか。
ミュシャの描く女性には、何とも判別し難い魅力があります。
「何故、ミュシャを描くのですか?」という質問を受けることもありますが、
伝統的な日本画の画法で、西洋画を取り込むことにより、
日本人の身体と感性と西洋との調和を、私なりに模索しているのだと思います。
今後とも御指導、よろしくお願いいたします。
![写真 2015-08-16 17 04 38](https://atebis.com/essay/wp-content/uploads/2015/08/c2df284c21f6fadecd89b8b8c8e37956-150x150.jpg)
- プロフィール -
出身 群馬県
趣味 声楽、海外旅行